子どもは実母に見てもらって久しぶりに1人で映画館へ行き、平日の昼間にゆったりと映画鑑賞。
大泉洋さん主演の「室町無頼」を観てきました。
リフレッシュしに来た割に体に力が入る映画でした笑。その感想です。
あらすじ
1461年、大飢饉に襲われ疫病が蔓延し多くの人が命を落としていた。
にも関わらず時の権力者は享楽に耽り、民を救うどころか税を釣り上げ取り立てを厳しくするばかり。
蓮田兵衛(大泉洋)は骨皮道賢(堤真一)が連れてきた才蔵(長尾謙杜)と共に各地を放浪する。
修行を通して心身を鍛え上げ兵法者として歩み出した才蔵に惹かれた者、臥薪嘗胆の末についに決起した農民たち。
個性派のアウトローたちを中心とした一団を束ねた兵衛は前代未聞の大規模な一揆を決行する。
京を守ろうと洛中警護役の道賢が動く中、命をかけた戦いの火蓋が切られる。
感想【ネタバレあり】
室町時代が舞台というのはちょっと珍しいですよね。
平安時代や戦国、江戸、明治の文明開化あたり以外の時代劇はあまり見たことない気がします。
これまであまり焦点が当てられてこなかった室町時代を題材にしたのは今後の時代劇に新たな道を開いたのではないでしょうか。
迫力のある戦闘シーンとスケールの大きい映像、魅力ある登場人物たちとでおもしろい作品でした。
時代背景について
映画の出だしに笙を使った雅楽が演奏されていたり室町将軍の元に世阿弥が侍っていたりと、室町文化の象徴も出てきていたのが印象的でした。
室町時代特有の権門体制、特に寺社仏閣の権力が強いというのを知っているとより分かりやすいかもしれません。
地名は細かいところが出てきます。
兵衛が才蔵を連れて各地を回る場面や一揆の作戦を立てている場面は、京都の地理地名・室町時代の街の様子を知っているとおもしろさが増すでしょう。
登場人物について
蓮田兵衛
兵衛は飄々としていてお気楽な毎日を過ごしているように見えて着々と準備をしている抜け目ない人物でした。
道端の乞食に食べ物を与えるほどの慈悲を持つ兵衛が一揆を率いたというのは、もう他の手段では手に負えない所まで政治が腐敗してしまったことを表現していると感じます。
京に攻め入ったときに武器を配るというのは資金と武器調達のツテがあってこそ。流石です。
武士が一揆を起こす側に回る怖さがありましたね。
農民たちだけならこうはいかない。だからこそ大規模な一揆になっということなんだと思います。
一揆というのは大抵首謀者の命をもって終わりをみるものなので兵衛が討ち取られるのも仕方がないと分かっていましたが、やはりその最期は悲しかった…。
友人である道賢の手で最期を迎えられたのは、考えられる中で1番良い最期だと思うのでそれだけが救いです。
才蔵
全体的にセリフの棒読み感がちょっと気になりましたが…気にしなければとてもいいキャラ。
最初は庇護欲を掻き立てるような雰囲気の才蔵が最後は頼りがいのありそうな青年に成長したのは感動でした。
才蔵のアクションがすごいとしか言いようがありません。棒術カッコよすぎ。
修行で釘を打ち込むシーンは迫力があり戦闘シーンはワイヤーアクションがあり、とてもかっこよかったです。
ラストシーンで兵衛のような出で立ちで現れた才蔵を見た時には思わず「才蔵ぉぉぉぉ!」と叫びそうになるほど感動しました。
芳王子が複雑な、それでいて嬉しそうな表情になるのも共感できます。
兵衛は命を落としたがその想いは生きている…!
ありがちと言えばありがちなラストだけど意志を貫き次代へ繋ぐ難しさを想像すると…やはり感動です。
骨皮道賢
骸の柄の刀を使いちょっとおどろおどろしい雰囲気をまとい、とても無法者を取り締まる側には見えない。
でもそれくらいじゃないと取り締まることなどできないような世の中だったのかもしれませんね。
最後まで己の立場でできる範囲で必要以上に京に火が広がらないように、被害が大きくなりすぎないようにと立ち回っていたように感じます。
兵衛と敵対してしまいましたが、友人としての情が切った後に兵衛の顔を撫でるシーンで現れているようでした。
道賢が伏見稲荷を根城にしていた理由とかあるのでしょうか。
原作読んでその辺も分かったらいいなと思います。
一揆について
映画は一部フィクションですが、かつて実際に命をかけて一揆を起こしていた人々のことを思うと辛くなります。
映画でも一揆に関わった主要メンバーはほぼ亡くなってしまったのは悲しいです。
でも一揆のおかげで確実に世の中は変わっていました。
これは何においても行動することの大切さが分かりますね。
印象に残ったことといえば、借金の証文を取り返すために女性が一揆の前線へ出ていたことです。
室町〜戦国時代の女性は武器を手に取り戦に参加する強さを持っているという話は聞いたことがあります。
それでも戦う訓練をしていない女性が参戦せずにはいられないほど、追い詰められ鬱憤が溜まっている状況だとも感じました。
まぁ当時は死が隣り合わせの毎日で京であっても物騒なことは多かったとも思いますが。
映画のタイトルにある「無頼」とは①無法な行いをすること。そういう人。②頼みにするところがないこと。 という意味があるようです。(引用:コトバンク)
一揆の最後に「無頼」と書いた紙を花の御所の門に貼り付けたのは、その中にいる人達が頼りにならない、正しい行いをしていない無能な者たちと民衆に知らしめているようでした。
最後に
社会保障費やら税金やらが高くて生活が苦しい昨今。
さらには物価高が続き政治への鬱憤が溜まっている人も少なくないはず。
民主主義なのだから意見を主張して国民みんなで生活がしやすい豊かな社会を目指すべきと感じました。
近々、原作小説も読みたいと思います。
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